- 185回 -

2024年5月25日(土) 深夜2時30分~

掌で空は隠せない ~1926木本事件~

1926(大正15)年、三重県の木本町(現・熊野市)でトンネル工事に従事していた朝鮮人2人が武装した町民に集団で襲われ、殺害された。
町民と朝鮮人の小さなトラブルから「朝鮮人が町に火を放つ」との噂が広まり、騒乱になった結果だった。関東大震災から2年半後のことだった。
この木本事件は地元でタブー視され、伝える人も少ない。犠牲者の孫は「韓国の言葉に『大空を手のひらで隠せない』という言葉があるが、すべてを隠すことはできない」と話す。
当時、なぜ「朝鮮人だ」という理由で人を殺すことができたのか。虐殺の発生と連鎖のメカニズムを探り、事件を後世に伝えようとする地元の僧侶、教師らの思いを描く。